北部九州フィールド(武雄市)合同巡検

 2022年11月5日(土)に、本研究領域の共同フィールドの一つである佐賀県武雄市において、合同巡検を実施しました。武雄は干ばつと洪水という両極端な気象災害の常襲地域であり、近年では2019年と2021年に六角川流域で大規模な内水氾濫が発生しています。今回の巡検では、武雄に多数分布するため池や佐賀総鎮守で雨乞い祈願がされた潮見神社などを視察しました。また、佐賀県立宇宙科学館を訪問し、武雄を含む佐賀県の成り立ちや生息する生き物を紹介している常設展示「佐賀コーナー」を見学しました。地球圏―人間圏―生物圏の多角的な視点から武雄を理解すべく、各サイトを見学しながら参加者間で意見交換をしました。

巡検内容
・武雄市朝日地区(ため池の改修工事見学)
・武雄市橘町南楢崎(ため池見学,採水デモストレーション)
・河童の誓文石,潮見神社見学
・佐賀県立宇宙科学館(常設展示「佐賀コーナー」見学)

 最初に朝日町で改修工事を行っているため池を見学しました。上流側と下流側に2つのため池があり、その下段のため池で排水し、堤防の工事を行っていました。ここでは、将来のため池管理のあり方について、防災と生物多様性保全の両立をいかに考えるかなど意見交換をしました。その後、南楢崎地区のため池を見学しました。この地域では、川に沿って複数の小さなため池が作られ、上流側に比較的大きなため池が設けられていました。

武雄市巡検1:改修中のため池見学
改修中のため池見学

 次に橘町の六角川にほとりにある河童の誓文石や潮見神社を見学しました。六角川は河童伝承がある地域で、誓文石はかつて潮見神社の宮司と河童との間で交わされた約束にまつわる石であるとの謂われがあります。また、潮見神社は雨乞い祈願がされた神社でもあり、水にまつわる地域の文化として捉えることができます。
 巡検の最後に佐賀県立宇宙科学館を訪問し、常設展「佐賀コーナー」を見学しました。本コーナーを担当されている学芸員の方に展示を案内いただき、佐賀の成り立ちなどを紹介した岩石や化石の展示、地域に生息する生き物の展示などをみながら意見交換をしました。
 巡検全体を通じて地球圏―人間圏―生物圏の幅広い視点から武雄の水環境を見つめることができました。また、異なる分野の参加者の間で意見交換をすることで、それぞれの学問分野の注目点などを知ることができました。

武雄巡検2:採水デモンストレーション
採水デモストレーション
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