B02班 大石侑香先生(神戸大学)が単著を出版されました

 2023年3月に神戸大学の大石侑香先生(講師)がシベリア漁撈民に関する単著を出版されました。

 西シベリア森林地帯で生活する北方民族の生業に関する民族誌で、複合的な生業の一つとして続いてきた漁労やトナカイ皮革と川の関係、現代の地下資源開発にともなう水資源保全など、ミクロな視点から水共生学の“ゆらぎ”にアプローチする研究成果です。

大石侑香『シベリア森林の民族誌――漁撈牧畜複合論』書影

大石 侑香
『シベリア森林の民族誌: 漁撈牧畜複合論』
発行年: 2023 年 出版社: 昭和堂
総ページ数: 296 ISBN : 9784812222096

内容紹介

 エニセイ川からウラル山脈のあいだの西シベリア低地には湿地と針葉樹からなる大森林地帯が広がる。そのほぼ中央を南から北へとオビ川は流れる。この中下流域をすみかとするハンティらは漁撈・狩猟採集・トナカイ飼育を複合的に営み、日々の糧としてきた。ここでは、牧夫たちは漁撈で獲得した淡水魚をトナカイに与えて群れが人から遠く離れすぎないように惹きつけている。本書は、20か月以上実施したフィールドワーク成果をもとに、いかにかれらが移動性の高いトナカイ飼育と定住的な漁撈を行っているかついて、季節移動や放牧技術、社会関係、物質文化、近代化の影響等の事例から論じている。寒冷だが豊かな森と水の環境に暮らす人々の柔軟で多様な自然とのかかわりあいを描いた。

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