C01班・土屋慶丞先生(釧路市立博物館)が昆虫相に関する論文を発表しました

 2023年3月31日、C01班 研究分担者の土屋慶丞先生(釧路市立博物館)が二ツ山「昆虫の棲む森」で行った調査をまとめた論文を発表されました。過去の昆虫相との比較や将来に向けた調査体制の構築も企図したこの論文は、水共生学の共同フィールドの一つ道東地域にあたる標茶町における流域圏の生態系調査の成果の一つと言えます。

標茶町二ツ山の昆虫相への森林管理変遷の影響(1)―蜻蛉目・鱗翅類(チョウ類)―
土屋慶丞、生方秀紀、高橋優花
標茶町博物館紀要第4号(2023)

―内容紹介ー

 標茶町二ツ山の「昆虫の棲む森」で 2020 -22 年に昆虫相調査を行い、トンボ類 18 種・チョウ類 38 種の生息を確認した。

「昆虫の棲む森」を整備・管理されていた飯島一雄氏(故人)によって1980年代に掘削されたトンボ池では10 種のトンボの幼虫または羽化が観察されたが、釧路湿原特有の北方系希少種は定着していなかった。とはいえ、大小さまざまなトンボを観察しやすく、生物多様性への理解を向上させる場として池の再掘削などの再生が望まれる。

 チョウ類については、ミズナラまたはカシワに産卵する種がゼフィルス類を中心に 12 種記録されているが、今回の調査ではミヤマセセリとエゾミドリシジミの2種にとどまるなど明らかな衰退が認められた。これはかつて薪炭林として利用されていた「昆虫の棲む森」の樹木が成長して日が差さない暗い森林となるなど、人の手が入った明るい広葉樹林を好む種にとって生息しづらい環境になりつつあることが原因とみなされる。

昆虫の棲む森 トンボ池
土砂で埋まりつつあるトンボ池(2022年8月24日)、生方秀紀氏撮影
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