石垣市にてセミナーを開催しました(質問回答)

 2023年10月15日(日)に、沖縄県石垣市において「水共生学セミナー ~水・ヒト・生き物の営みが共生する石垣島を目指して~」を石垣市および国際農林水産業研究センターと共同で開催いたしました。国際農林水産業研究センターの記事はこちらから。(外部リンクが開きます)

 今回のセミナーは2023年2月に開催したワークショップ「石垣島をめぐる水共生学」に続いて、気候変動のもとでの水環境の変化に焦点をあて、農業や観光などの産業や社会・文化、生物多様性に関する石垣島での取り組みについて紹介しました。多くの方にご来場いただき、充実した内容のセミナーとなりました。

水共生学セミナー ~水・ヒト・生き物の営みが共生する石垣島を目指して~

日  時:2023年10月15日(日)16:10~18:00
開催方法:対面参加
会  場:石垣市民会館中ホール(石垣市浜崎町1-1-2)

プログラム

16:10-16:15  開会挨拶
        松川 英樹(石垣市農林水産商工部農政経済課 課長)
16:15-16:25  水共生学プロジェクトの紹介
        荒谷 邦雄(九州大学)
16:25-17:25  話題提供
        サンゴ礁の自然とリゾート開発 ~名蔵湾について考える~
        菅 浩伸(九州大学)
        沖縄諸島の水環境知から学び合う試み ~東ティモールの現状と課題~
        嶋田 奈穂子(総合地球環境学研究所)
        陸と海のつながり
        大澤 和敏(宇都宮大学)
        熱研の未来への取り組み ~農業の発展と環境保全が両立する資源循環システムの開発~
        安西 俊彦(国際農林水産業研究センター)
17:25-17:35  水共生学ワークショップ報告
17:35-17:55  質疑
17:55-18:00  閉会挨拶
        大前 英(国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点 所長)

質問の回答:
プログラムの質疑でいただいたものの、時間が足りずに回答できなかった質問への回答です。

 農薬についての知識が乏しく、今回のお話で初めて海域への影響について意識しました。質問ですが、河川・湖沼や沿岸部において農薬由来物質のモニタリングをされている例はありますでしょうか? 沖縄の例があれば教えてください。

 我々の研究グループで、石垣島の沈砂池ビオトープや西表島の田んぼやその近くに造成したビオトープの池で水中の定期的なネオニコチノイド系の農薬濃度と水生昆虫相の変化についてモニタリングしています。特にフィプロニルとその分解産物が一度検出されると水生昆虫の多様性が激減すること、サトウキビの株出しの時期に農薬濃度が増すこと、農薬の影響で一旦、減少した水生昆虫は復活しないこと、などが観察されています。
 海での農薬のモニタリング例はまだ無いかと思います。

 赤土流出について農家さんに取り組んでもらう時の障壁はどのようなものが多いでしょうか? また、障壁をどのように超えていっているのでしょうか?

 ご質問、ありがとうございます。障壁としては、農家さんにメリットがないと実施してもらえないということでしょうか。メリットは経済性(儲かるかどうか)、労働性(楽になるかどうか)、生産性(収量が増えるかどうか)、社会性(誇れるかどうか)など個々の農家さんによって重視する点は様々です。そのようなメリットを科学的根拠とともに示せるように私たちは研究をやっており、対策の普及には行政や農業関連団体との協働が欠かせません。今後は島の内外の皆さんと農家さんを応援していきたいですね。

 名蔵アンパルの陸地側でゴルフ場の開発が予定されています。名蔵湾のサンゴへの影響はあるかと思いますが、開発と保護が両立できる方法はあるのでしょうか?

 陸域の開発に対する干潟や海域の保全については、注意深い観察や様々なデータを用いて、陸から海に至る影響の発生を予測し、注意を払っていく必要があると思います。開発と保護は方向性が異なるので、すべてを満足させる方法はなかなかないと思いますが、影響が最も少なくなるよう開発の仕方や考え方、開発規模を適正にすることが肝心と思います。

 化学肥料の使用を減らす目的で、堆肥を有効活用した場合、水質汚染への影響はどうなりますか?

 堆肥は化学肥料よりもゆっくりと無機化するので、堆肥を活用することで、化学肥料よりも環境負荷は少なくなり、地下水や河川の水質が改善する可能性が高いです。しかし、堆肥も適正な量を超えた量を施用すると、作物が利用しなかった分が環境中に流出して、環境負荷を与えてしまいます。畑に応じた適切な堆肥の量を施用することが重要です。


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