2022年12月、九州大学大学院比較社会文化研究院に水共生学プロジェクトに関わる大型設備の目玉、高出力高解像マイクロX線CTスキャナ(Nikon XTH320)が配備されました。この装置は、九州大学で初めてとなる小〜中型の生物を生きたまま解析できるCTスキャナです。絶滅危惧の昆虫や小型動物、植物の非侵襲的な形態観察だけでなく、同一個体の成長に伴う内部変化などを継時的に観察でき、C01班が目指す流域圏生態系の種レベルの生物多様性に対する観測能が飛躍的に向上します。
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加えて本装置は、鉱物試料や遺跡発掘資料、古文書史料など貴重な資(試・史)料の非破壊観察も可能とするため、領域全体でも大いに活用が期待されます。試料台の最大積載質量が100kgまである上に、マイクロCT撮影室内での各種実験が可能であることも大きな特徴です(図1)。2022年度末には実験室内に3Dプリンター(RICOH Raise3DPro)も導入され、非破壊内部状態・構造分析システム実験室の本格的な立ち上げ、および始動となりました。
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現在、CTスキャンの映像も利用した3D生物図鑑を作成し、国内外各地における生物多様性の教育・普及に活用する試みがスタートしています(図2)。その他、古人骨に見られる骨折などの外傷や病変部位の観察などの成果が上がっています。
CTスキャナ導入後、開催された使用講習会には学生を含む多数の参加があり、本装置への期待の高さがうかがえました(図3)。今後、CTスキャナによる成果のアーカイブやオンラインによる公開・発信を積極的に進めていく予定です。
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CTスキャナの導入に関して、水共生学Newsletter vol.3にて詳しく特集しています。そちらもぜひご覧ください。
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